お好み焼きの切り方
ガイドブックなどでは、広島のお好み焼きの成層構造を見せたいため、ピザ状に切り分けて写しているケースが多い。
それに対して、特に感慨はなかったのだが、ある店の店主から「県外の人は、ああやって食べるんだと思い込んでいる人が多いんですよ」と教えてもらった。
どういうことか?と訊くと、写真のとおり、ピザ状に切り取ってコテの上に取り、そのまま口に持って行って「アチチ!」と大騒ぎしながら噛り付くのだそうだ。
もちろん、そんな不安定な食べ方をするから、コテの上のお好み焼きは皿の上に落下する。
そして、その崩れた形のお好み焼きを、箸で突き回して食べるらしい。
確かに思い出してみると、ピザ状に切り取ったお好み焼きを皿に取り、それを箸で崩して食べている観光客の人って多いと思う。
まぁ、皿で食べるのであれば、どうやって食べても形が崩れるので諦めるしかないのだけれど、食べることが好きな人であれば、鉄板で食べる楽しみも満喫してほしいと思う。
そのためには食べ方指南って必要かも?と思うのだ。
ちなみにピッツアの場合は、縁の部分からトッピングの部分、中心のソースが濃い部分までのグラデーションを一度に味わうため、あのように切り分ける。
しかし、広島のお好み焼きの味のグラデーションは、平行ではなく、垂直なのだ。
麺、野菜、肉、玉子、ソースなどが縦方向に連続しているため、これらのバランスを崩さずに食べる必要がある。
判りやすく言えば、サンドイッチを皿の上でバラバラに崩して食べないのと同じだ。
そういう観点からすると、関西のお好み焼きは惣菜パンで、広島のお好み焼きはサンドイッチのような気がする。
惣菜パンとサンドイッチのどちらが旨いかを比べることに意味がないように、それぞれのお好み焼きは別の料理なのだ。