全国都道府県対抗男子駅伝
これまで広島で行われていても見たことがなかった。
しかし、自分が走り始めたことから関心が高くなり、今回は沿道でナマの走りを見たいと考えていた。
自宅から自転車10分以内でにコースへ到着できるのだから。
僕が見たのは平和大通りの観音町付近。
平和公園をスタートしたばかりなので、ほとんど集団のままだった。
高校生区間ということもあり、そこまでは凄味を感じなかった。
正直、あれ?こんなものか?と思った。
しかし、近所のうどん店に入り、うどんを食べながら駅伝を見ていると、2区に繋げる直前で激しいスパートをかけていて、見応えがあった。
そうか、僕が見たときはまだ様子を伺っている時だったのだ。
むー、そうすると、それぞれの区間の終了前、特にアンカー区間の最後辺りが見応えあるに違いないと思い、再度、出かけて行った。
しばらく待っていると、先頭集団がやって来た。
県別では福島県代表として走っているけれど、中国電力所属の佐藤敦之選手はほとんど地元選手扱い。
先頭争いということもあり、凄い応援だった。
走りも軽やかでストライドが広い。
これがトップアスリートの本気の走りなのかと感心させられた。
その後、次々と選手が走り抜けて行ったが、僕が見た地点は周回後の最後の直線部分なので、そのまま残っていた。
選手たちは広島駅前まで進み、広島城の南側を抜けて、再び平和大通りに戻って来た。
それまで僕は比較的冷静に見ていたが、この時、雷に打たれたように、熱いものがこみ上げて来た。
自分でもどうしたのか?と思うほどで、危うく落涙するところだった。
残り1km近くになり、スパートに入ったというのもあっただろう。
選手の気迫に当てられたのだ。
テレビからは伝わらない、ナマの走りだからこそ伝わったのだろう。
僕の目の前で佐藤選手が先頭に抜け出し、その時は鳥肌が立った。
その後、広島の鎧坂選手が激走と呼ぶに相応しい、鬼気迫る勢いで駆け抜けていった。
僕は一生懸命手を叩きながら、何とか涙だけは流さないよう心がけた。
走っている、その姿を見るだけで彼らの「思い」がこれほど伝わるとは。
「走る」ことを通じたコミュニケーションがあるのだと初めて知った。
また、沿道の声援がいいね。
僕もその一人になることができて光栄だった。
こんなに素晴らしいものだとは知らなかった。
来年もまた、必ず見るぞ。