客に「お勧めは?」と訊かれた時の対応はとても重要

勧めの料理を訊ねると「全てお勧めです」とか「お客様のお好みですから」と答える店がある。しかし、この対応は非常にマズイ。その理由を考察してみる。

例えば採用面接を受けるときに「得意な科目は?」と訊かれて「全部得意です」と答えるだろうか。「御社で最も力を入れている商品は?」と訊かれて「それはお客様のお好みです」と答えるだろうか。

食べてもらいたくない料理を品書きに掲載している店はおそらくないので、全ての料理がお勧めであることは客だって理解している。その中で、店はどの料理を最初に食べてもらいたいのですか?と訊いているのだ。

例えば今の季節ならこれがお勧めですよとか、私が一番好きなのはこの料理ですとか、それが望まれている答えだ。油っこい料理が大丈夫ならこれですとか、お腹ぺこぺこならこれがボリュームあっていいですよとか、具体的な条件を付けてもいいし、逆にどんな料理が食べたいですか?と質問してもいいだろう。

客がコミュニケーションを求めているのだから、素直に返せばいいのだ。最初のような答えは、そのコミュニケーションを拒否している。

もちろん、どうでもいいお喋りを始めて、会話を楽しもうとする馬鹿な客もいるので、ある程度の防衛方法は知っておかなければならないと思うが、注文時に木で鼻を括ったような対応をされると、頼むほうも「ならこれでいいや」と投げやりになってしまう。

そんな状態で料理を食べれば、その評価はまず減点主義になる。ここがダメ、あそこがダメとダメなところばかり探すことになる。

逆にお勧めされた料理であれば、自分の好みとは異なっていても、こういう部分がお勧めなのかな?こういう人には受けるんじゃないかな?と加点主義で評価することになる。

この違いは大きい。

フロアスタッフは普段から「お勧めはどれ?」と訊かれた時、どのように答えるかシミュレーションの研修をしておくと良いと思う。できれば「これが人気です」と逃げるのではなく、正面からニーズを受け止めるようなフロアスタッフが増えることを望む。

そして、そういう店には良い客が付くし、良い評価を受けると思うのだ。

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