「そば丼」の正体

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ある日「餃子園 河原町店」の店頭に掲げられた品書きの中に「そば丼」という興味深い料理を見つけた。
Twitterで呟くと、どうも僕に行ってこいという雰囲気なので(笑)、食べに訪れたのだ。
店内の人たちが食べているのは、ラーメンセットや焼肉定食、中華丼などが多かったが、僕の注文はもちろんそば丼。
どんな料理が運ばれて来るのか、ワクワクしながら待っていると、深めの丼に中華丼の餡のようなものがたっぷり入った状態で目の前に置かれた。
これがそば丼?そばって中華そばのそばじゃなくて、何か別の「ソバ」という食材が使われているの?と思いながら箸を入れると、餡の下からご飯ではなく中華麺が現れた。
僕は丼と名がついている以上、少なくともご飯を使った料理と思っていたので、これは意表を突かれた。
もしかして、中華麺の下にご飯が?と思ったけれど、底まで麺だった。
つまり、中華丼のご飯を中華麺に変えただけなのだ。
これっていわゆるダールー麺だよね?と思いながら食べ進む。
餡の味はかなり濃いめで、麺はのびのび。
これが650円ならば、550円の中華丼のほうが…とか考えつつ完食。
食べ終わって精算をお願いする際に、なぜあの料理がそば丼なの?と訊いてみると「ラーメンの上に中華丼でしょ?だからそば丼」と言われた。
つまり、ラーメン=そば、中華丼=丼で「そば丼」なのだ。
ということは、だ。
中華丼の餡のアイデンティティは「中華」じゃなくて「丼」に含められているということか。
それはいくらなんでも強引だろう。
確かに元々、中華丼という料理名に無理があるとは思う。
仮に、アメリカでジャパニーズ・ローストという料理が食べられているとして、我々の感覚では何じゃそりゃ?と感じるのと同じだ。
それでも無理矢理分解するならば、中華が餡の部分で、丼がご飯の部分を示していると僕は思うが、この店では「丼」の文字をもって餡を示してしまったのだ。
実に愛すべき無理矢理感で、料理だけでなく、ネーミングまでB級テイストなところが味わい深い。
僕は使命を果たした喜びと、予想外のオチに苦笑いしつつ、しかし、この論で考えるならば、この店の麻婆丼ってどんな形で出てくるのだろう?と考えてしまったのだ。

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